スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Mousepiece

ゲッツのマウスピースの変遷は、ジャケット写真を見てるとそれなりにわかる。古くはオットーリンクのメタルを使っていたりする。一般的にはオットーリンクのラバーと思われているけど、必ずしもそうではないみたい。なんとラバーながらベルグラーセンやデュコフを使用していた時期もあるらしいし、晩年はメイヤーだったようだ。私も昔ラーセンのラバーを使ったことがあるけど、あまりに個性的なサウンドで、数か月で使うのをやめてしまった。

 

saxforum.it

また、開きが大きいモデルを使用していたという通説があるけど、そんなことはなく、オットーリンクで言えば5スタ程度だったようだ。つまり普通の開きですね。アメリカ版「質問箱」みたいなサイトで「8スタ」と回答しているのもあったけど。

上のサイトを翻訳してみると、1957~1971年はリンクの5スタ、1974~1988年は7スタだったらしい。最晩年はメイヤー8Sだそうだけど、リンク以外はどれがどの程度の開きなのか見当もつきません。ちなみにボサノヴァ時代に5番のリードを使っていたこともある、という記述には驚き。確かに音色を聴いていると硬いリードを使っていると思われるけど、さすがに5番ともなると音が出るのかというより、そんなもの製造しているとは唖然。さらにボサノヴァ時代は「できるだけ大きく口の中に入れるようにしていた」ともあり、一度「超硬リード+思い切りくわえてみる」というのを試してみたくなる・・・

 

数年前に、ゲッツのシグネイチャーモデルが発売された。遺族公認(どころか積極的に関与したらしい)とのこと。私も発売直後に購入しました。それまで使用していたオットーリンクのヴィンテージモデル(本物のヴィンテージではなく、復刻モデルです)から変更したのだけど、これがけっこう相性がいい。このマウスピースに替えたからといってゲッツの音が出るわけではないんだけどね。6スタを買ってずっと使っていますが、5スタにしておけばよかった。

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ついでに、リガチャーの位置についても考えてみましょう。「In Sweden1958-60」のジャケットや「Moments In Time」のブックレット内の写真を見ると、リガチャーをかなり手前につけているのがわかります。いまのサックス界では、できるだけ奥にセットして振動する部分を広くするというのを一般的に推奨しているはずだけど、ゲッツは違う。でもリガチャーを手前にすると留め金のところで両側が触れてしまうんですよね、そうするとリードミスしやすいとも言われているし。