スタン・ゲッツを聴く

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My Foolish Heart: Live At The Left Bank

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超弩級の発掘音源。楽器の音量バランスが良く、これが発掘音源とは信じられないくらい。ブックレットの裏表紙や中には子どもたちとの写真があり、それがまたレアで良い。ま、たまにキレて子どもをも殴っていたDVっぷりだったんだけど。CDには「1975年録音」とあるけどジャズ批評では「1973年(75?)」と書いてあります。

リッチー・バイラーク、デイブ・ホランドジャック・ディジョネットというメンバーは本当なの?リズムセクションもばっちりで、完璧にゲッツをサポート。選曲の妙もあってかゲッツがどんどん迫ってくる。スイング感が半端なく、1曲目の「Invitation」からグイグイと引き込む。2曲目「Untitled」はクレジットも不明で、誰の曲かわからないというものだけど、これもまたかなりの名演。これぞジャズという感じ。

チック・コリアの「Litha」はテンポの緩急とそのスピードから割りと演奏が荒れるけど、ここでのプレイは初演スタジオ盤「Sweet Rain」でのテイクよりも安定していてかつエキサイティングで、これまたすばらしい。エンディングは他に残されているテイクと違って、ワルツでなく4ビート。

アルバムタイトルにもなっている「My Foolish Heart」はビル・エヴァンスの演奏が有名だけどゲッツもやっていたとは。しかしアルバムの中では一番つまらない。なぜこれをアルバムタイトルにしたのかなあ。そういうのは例えばコンコードの「Spring is here」なんかもそうだけど。これが日本企画ならわかるけど。日本のレコード会社は「ジャズのリスナーはバラードが好き」という思い込みがあるから。それはいかにもジャズを知らない人の感性。

ラストを飾る「Fiesta」、これが好きです。チック・コリアの作曲ということになっているけど「La Fiesta」ではありませんし、寡聞にしてこの録音しか知りません。良い曲なんだけど、ほかにやっていないのかなあ。採譜して演奏したことがありますが、コード進行が単純な分、ソロイストがしっかりしないとダレる曲です。イントロからゲッツが入ってくるところ、実はテーマメロディなどなく、ゲッツのソロなのでは?テーマと呼べる書き譜は真ん中のブレイクのあたりだけっぽいほど、ゲッツが縦横無尽に飛躍します。

 

My Foolish Heart: Live at the Left Bank

My Foolish Heart: Live at the Left Bank