スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

「O Grande Amor」

(ここで言っていることはすべて「私の知る限り」の話なので、間違ってたらすみません)

アントニオ・カルロス・ジョビンの代表曲「O Grande Amor」、ちょっと数えてみたら、このブログを書いている時点でわかるかぎり、ゲッツは10テイクの録音を残しています。動画は追いきれないのでノーカウント。アルバムによって「Un Grand Amor」とか「O Grande Amour」とか誤記されています。意外とたくさん演奏してるなという印象。

1963年「Getz/Gilberto」でのしっとりしたヴァージョンが絶妙。インストで言えば一般的には1967年の「Sweet Rain」が初演だと思われているかもしれないけど、1966年のゲイリー・バートン入りのカルテット時代、「Stan Getz Quartet London 1966」ですでに演奏されている。ここではこの時期にゲッツがよくやっていた「ベースだけがソロを取る」というパターン。おっと、これは11月14日、それよりも11月6日の「Two Sides Of Stan Getz」の方が早い。

1960年代から1980年代まで長くレパートリーとしており、スローからファーストまで様々なテンポで演奏している。おもしろいのが「Jazzbühne Berlin '78」での演奏。他の録音は4分の4拍子で演奏している感じだけど、ここでの演奏はボサノヴァ本来の4分の2拍子になっている。

Sweet Rain」でのエモーショナルなプレイはその後の他の録音でもアプローチで見られ、ライブで盛り上がる定番曲。

 

 

「Summer Sequence(Part4)」

(ここで言っていることはすべて「私の知る限り」の話なので、間違ってたらすみません)

ゲッツの出世作となった「Early Autumn」の話では、よく「サマーシークエンス第4章を発展させたアーリー・オータム」などと言われます。でも実際、「Early Autumn」を聴いたことがあっても「Summer Sequence(Part4)」は聴いたことがない、という人は少なくないはず。

演奏はウディー・ハーマン楽団のセカンド・ハードの録音で聴くことができます。

おそらくここに入っている2テイクがすべてだと思います。ちなみにこのコンピレーションCDに第1章から第4章まで収録されていますが、ゲッツが参加してるのは第4章だけです。

ゲッツファンの風上にも置けない意見ですが、はっきり言って「Early Autumn」でのゲッツのソロってそんなにいいとは思えない。すごく売れたんですよね、でもそれは曲が良かったからじゃないのかな?

で、その大元になっているのが「Summer Sequence(Part4)」。こっちは冒頭からメロディがあるのかないのか、雰囲気だけで聴かせる感じで進んでいくのですが、ちょっと落ち着いてからゲッツのソロが出てくる。たった8小節ですが、これが1948年の録音なのに完全にゲッツの、独立してからのクールなプレイと音色で、とにかく素晴らしい。個人的にはゲッツのソロのベスト10に入る、入ると思う、入るんじゃないかな、ま、ちょっとは覚悟しておけ。

ゲッツのソロの後にようやく楽曲のメロディらしいものがオーケストラで演奏される、これが「Early Autumn」のメロディです。このメロディをフィーチャーして再度ラルフ・バーンズが作曲したのが「Early Autumn」として発表されたわけです。

ちなみにゲッツは「Summer Sequence(Part4)」でのソロについては「どんなものだったか覚えていない、レコードも持ってないし、3回くらいしか聴いていない」と言い、「Early Autumn」のソロについては「しょっちゅうラジオで流れていたからよく聴いた。あれはよい出来だと思う」と言ってます。

 

Stuttgart 1989

「Megadisc」というところのCD-R盤。1989年7月20日のライブで、裏面にはベーシストが「Unknown」とあるけど1989年7月14日の「North Sea Jazz Festival 1989」と7月27日の「Soul Eyes」がどちらも森泰人なので、これもそうでしょう。記載されている曲タイトルは3と4が入れ替わっています。

ゲッツは体調が悪いのか、「Con Alma」や「What Is This Thing Called Love」でのイントロが短くあっという間にリフに入る。後者ではソロも短めか。かと思っていると「Warm Valley」では、スローナンバーなのにテーマのあとにソロをまるまる2コーラスもとるのでかなり長くなっている。

「体調が悪いのか」とか言ったけど、全体的に内容は悪くないどころか、他の録音よりもエモーショナルな感じで新鮮。

ところで、収録曲が、1曲目「Boold Count」、7曲目が「Warm Valley」、ラスト8曲目が「Soul Eyes」。まさかライブ自体がこの順番で演奏されたわけじゃないよね?そうだとするとけっこう攻めてる感じ。アンコールで「Soul Eyes」を演奏するのは珍しくないけど。