スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Forest Eyes

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オランダのアレンジャーと組んだ1979年録音。よく見るとなんだか不気味なジャケット。しかしその不気味さとは裏腹に、内容はよくできたアルバム。

 

1曲目「We Are Free」はオーケストラをバックに8ビートを意識させるバラード。壮大な、映画音楽のようで、これからの内容はこんな感じのストリングスものなのかなと思う。高音域でハスキーになるゲッツの後年の特徴がよく聴こえる。

2曲目「Tails Part 1 & 2 」の冒頭も同じようにストリングスかと思わせながら、いきなりローズの音で、スタッフと当時のスパイロ・ジャイラを足して2で割ったようなサウンドになる。繰り返しコードでずっとゲッツのソロが続く。うーん、こういうサウンドも構成も大好きだなあ。

3曲目「Shades Of Blue」では幽霊船のような雰囲気で始まりながら、ギターが入ったりしていろいろな顔を出す。テーマでの主旋律のハーモニーがかっこいい。どうやらこれこそ映画のテーマ曲らしいですが、そのタイトルは当然きいたことない、読み方もわからないオランダの映画。なんとこのアルバムには映画のテーマ曲が3つ収録されているのです。

 どんどんいきましょう、4曲目「Helon's Flight」は冒頭のフルートとかすかに重なるローズが美しい編曲。さらにストリングスも入ってきて、70年代らしい、いい意味で何でもありで、そしてアウトプットは良いものができるという好例。

しかしここまででやけにスロー系が続くなあという印象を持ち、レコードB面の「Forest Eyes」もしっとりとした曲想で、ちょっと速い曲が欲しくなる。

すると、6曲目「Drowsy」でまた爽やかフュージョンが登場。絶妙です。ゲッツの音色と曲想がマッチして、サンバファンクと言うんでしょうか、やはり70年代フュージョンなんですよ。ゲッツのソロからエレピのソロに受け渡すところもカッコいい。

7曲目「Silva」はピアノに導かれる美しいバラードで、切ないメロディを持つ曲。いつものようにストリングスが重なるけどそれまでのスロー系の曲とは趣きが違います。ちょっとだけカーペンターズのようなテイストもあります。

そして8曲目「Little lady」は、これぞ西海岸風爽やかフュージョンというイントロで、これがまた素晴らしい。まずギターが先導して、ゲッツが登場。このかっこよすぎるノリ、申し訳ないけどオランダ人ではないだろうと思っていたら、チャック・ローブなんですね。実はアンディ・ラヴァーンも参加してます。ゲッツがバックの上に自由気ままに乗っかりソロをとる。素晴らしきゲッツのフュージョン、という切り口ではかなり上位に来ます。

割と多彩で全体的に何かのストーリーがあるかのような印象を持てるアルバム。ゲッツがどの曲でも自分らしく吹いてるのにちゃんと曲に合っているのがすごい。ただしアナログでなくCDで聴くとスローが続くので、真ん中がダレるかもしれない。

 

Forest Eyes

Forest Eyes