ゲッツファンにとってはレベルが高いアルバム。初心者向けではないw
まず、全3曲というあたりが上級者向け。ジョン・コルトレーンとかでなくゲッツでこのパターンとは。また、収録曲はこの時期の主要レパートリーで、珍しくはない。ジャズだから全てのテイクは違うわけだけど、「またこの曲か」という感想を持たれてもしょうがない。ジョージ・ムラーツの参加はうれしい。おまけにベースの音が大きく録音されているので、ムラーツを堪能するにはいいアルバム。
「Lester Left Town」ではゲッツはノっているものの、いまいちソロにキレがない。そして続く「Lover Man」。でた。でました。ラスト5分がアルバート・デイリーの単独カデンツァ。「The Master」でのパターンと同じ。うんざり・・・と思いきや、これはそんなに悪くないから悔しいw ちなみにこっちの方が古い録音です。
そういえば、バラードをピアノソロのまま終わるというのは70年度以降ずっとゲッツのバンドの特徴になるわけだけど、それが始まったのがこのデイリーとの「Lower Man」かも。
ラストの「Times Lie」は21分にも及ぶ演奏。ところが18分過ぎまではゲッツ以外の3人のソロで、ゲッツのソロは正味1分もない。デイリーは、チック・コリアによる初演とは違って完全にこの曲を1コードとしてしかとらえていないので、まったくおもしろくない。続くベースソロとドラムソロはそれなりに楽しめる。
ということで、1曲目の半分、2曲目では冒頭4分の1、3曲目は1分しかゲッツのソロが聴けないというアルバムです。長い「Times Lie」でレコードB面を占めていて、そこではゲッツがテーマとラスト1分しか吹いていないということになる。損した気分は否めません。貴重な音源なんだろうけどね。
これは、よく言われるゲッツの「手抜きライブ」に該当するのだろうか。でも、本当に手抜きするときはソロをまったく吹かなかったそうで、これは黒というよりグレー、「やや手抜き」というところか。
- アーティスト: アル・デイリー(p),ジョージ・ムラーツ(b),スタン・ゲッツ(ts),ビリー・ハート(ds)
- 出版社/メーカー: スタジオソングス
- 発売日: 2014/05/14
- メディア: CD
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