テリー・ギブスのセッションとジミー・レイニーのセッションをゲッツでまとめたもの。レイニーの方のセッションでは、当初「スヴェン・クールソン」でクレジットされていたはず。このときレイニーはゲッツの麻薬中毒に嫌気がさして決別宣言をしていました。すでにゲッツのバンドを抜けており、わかる範囲では2人の共演はこれがラストです。
レイニーは実はけっこうメカニカルな作風で、1曲目「Motion」など原曲の「You Step Out Of A Dream」の雰囲気をがらっと変えた作曲とプレイ。この人、リーダーセッションだと調子が出るんですよね。レイニーがリーダーのセッション4曲では、ゲッツはかなり安定したプレイをしていて、名盤とされる「Stan Gtez Quartets」なんかより断然いい。それもそのはず、こちらの録音は1953年。CDにはちゃんとそう記載されているけど、ディスコグラフィーの中にはこのアルバムすべて1949年録音とされているものもあるので注意。
レッド・ミッチェルのソロもフィーチャーされているのがうれしい。「Signal」なんて完全にゲッツのリーダーセッション状態、フランク・イソラもこんなに軽快な叩き方ができるのか、と目から鱗です。この4曲はゲッツの全録音の中でもかなりすばらしいものだと思います。
それに対してギブスのセッションの方では、完全に「& His Men」状態でソロが短い。よりによってショーティ・ロジャースと同扱いとは・・・でもしっかり個性が確立している時期なので、その短いソロでもじゅうぶん聴きごたえがある。