スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Stan Getz At Large

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もともとはヴァーヴ制作の音源ではなく、デンマークコペンハーゲンでの現地主導の録音をヴァーヴで発表したものでしょう。だから「Stan Getz At Large Plus」というアルバムもあるわけです。

 

冒頭の「Night And Day」が始まった瞬間、そうそう、この曲はこのテンポもよく似合う、とうれしくなる。と思いきや、8小節目のコードはなんだ!たまにこのリハモを耳にするけど、ホントにやめてほしい。曲の雰囲気がこれだけでがらっと変わる。晩年のライブではこんなコードではなく原曲に忠実だった。

 

それにしてもこのアルバムの不思議さはなんだろう。いきなり2枚組(レコードのジャケットの表記を見ると、当初発売は別々なの?)、ほとんどミディアムスロー以下、スローもかなり多く、ディスク1のB面なんて3曲連続。それから「I Like To Recognize The Tune」の男声コーラス、何よりゲッツ名義の曲が4つも。ヴァーヴ盤にはそのようにクレジットされている。

でもみなさん、これホントにゲッツの作曲だと思います?聴けるのはこの時期の北欧録音だけでしょ。他人の曲なんじゃないかな。だいいち、まったく作曲をしなかったゲッツがこの時期だけいきなり4曲も、なんて考えられない。私は「Cafe Montmartre Blues」も他人の曲だと思います。50年代や80年代のあれらも同様。

ちなみに他のアルバムには、「Amour」は「Ah-Moore」でアル・コーンの作曲、「Just A Child」はジョニー・マンデルの作曲とクレジットされている。多分それが正しいのだろう。ゲッツの作曲については別項にて考察してみました。

 

とにかくゆったりしていて、ファンは音色をしっかり楽しめるからいいんだけど、特にゲッツを好きではないという人はこのリラックスしすぎたアルバムは途中で飽きるでしょう。これは分けて1枚ずつ発売した方がよかったのかもしれない。買う方は2枚組の方が安いからいいんだけど。

でも、やはりゲッツには北欧の生活が心地よかったのか、演奏内容はよく聴いてみると生涯最高に好調な時期なのではないかと思うほど。先ほど言った男声コーラスがちょっと気になる「I Like To Recognize The Tune」は、ストックフレーズの失敗を含めても「完璧」という言葉がぴったりなソロ構成。ゲッツの録音のうちたった1つだけコピーしろと言われたらこれを選ぶかもしれない(と、現時点では思っています)。

 

ところでいまはこのアルバムのコンプリート盤ということで13曲ほど追加されたものも発売されていますが、「 Stan Getz At Large plus vol.1,2 」と「 In Sweden 1958-60 」と「 Without A Song」を持っていればそれらの追加曲も含めてすべてそろっているので安心してください。

 

アット・ラージ

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