スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Stan Getz With Guest Artist Laurindo Almeida

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ゲッツはボサノヴァといわれるアルバムを短期間に集中して録音した。最初の「Jazz Samba」が1962年、そしてスタジオ録音ではラストになるこのアルバムが1963年。「Getz/Gilberto」の2日後の録音。ライブでは1964年にアストラッド・ジルベルト入りの作品も残しているけど、そのころはすでにゲイリー・バートン入りのやや硬派なバンドを結成していたわけです。ゲッツはボサノヴァの大ヒットのせいで自分のジャズのアイデンティティが埋もれることを恐れていたそうです。

情報の隔絶はわからないこともないけど、スタジオ録音の5枚は考えてみるとおかしな感じ。最初の「Jazz Samba」がボサノヴァでもサンバでもないのは理解できるけど、そのあとにあろうことかボサノヴァをビッグバンドでやるなんていう企画(クリード・テイラーがわるいのか)、それからようやく本国ブラジルのミュージシャンを入れたけど、ルイス・ボンファもマリア・トレードもボサノヴァの人ではなく、今の耳で聴くと違和感が残る。少しだけ参加していたトム・ジョビンは良かったけどね。

そしてようやくジョアン・ジルベルトを入れた名作を録音、これでボサノヴァのエッセンスがわかったのかな~と思っていたら今度は本作。上にも言ったように録音日はジョアンとの録音の2日後だから最初から決まっていたのかもしれないけど、ローリンド・アルメイダもボサノヴァの人じゃないからなあ。パーカッションの人も知らないけど、名前を見るとラテンの人っぽいし、実際聴こえてくる音はボサノヴァじゃないし。

でも選曲は日本人好みでもあり、文句なし。1曲目「Menina Moça」ほぼ「Recardo Bossa Nova」のコード進行に近く、ジャズでもやりやすい。アルメイダの曲として「Winter Moon」「Samba Da Sahra」などが収録されていて、名曲だけどスタンダード化していない分、ここでの録音は貴重。それから、ジョビンの「Outra Vez」はゲッツ節が爆発していて世紀の名演じゃないかなと思える。この曲をチャーリー・バードが演奏したテイクは、アレンジの秀逸さもあり死にたくなるほどけだるいものに仕上がっていましたが・・・

アルバムの裏ジャケットには「Latin Beauty」なんて書いてあって、やっぱりアメリカではラテン音楽扱いだったんだなあと今さらながら思います。

 ちなみにCD追加曲のピアニスト、当初の日本語ライナーでは「ジョビンだと思う」と思い切り間違ったことが書かれていて、ジャズ批評ではスティーブ・キューンと書かれていて、どこかにはボッサトレスのルイス・カルロス・ヴィニャスと書かれていた。ヴィニャスにしてはちょっとおとなしいかなとも思うけど、スティーブ・キューンなのかなあ?

ゲッツ/アルメイダ +1(GETZ/ALMEIDA +1) (MEG-CD)

ゲッツ/アルメイダ +1(GETZ/ALMEIDA +1) (MEG-CD)