スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Stan Getz In Stockholm

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間違いなく名盤。メンバーからして、雰囲気も「The Sound」のリユニオンみたいなもの。ただし、アルバム単位で聴くとイマイチ。全8曲のうち4曲がスロー系だからだろう。1曲1曲がどれも最高にすばらしいのに、なんとなく「イマイチ」という印象がある。とはいえ、ジャケットが有名でも長らくCD化されていなかった名盤である。ジャケット写真ではなんとソフトケースを持っている。昔このソフトケースをメーカーか商社かのカタログで見たとき「こんな危険なものを使う人がいるのか」と思ったけど、使っていますね・・・当時の林家こぶ平(現9代目林家正蔵)が、ある本で「このソフトケースがいかにもセッションに行くという感じでかっこいい」というような発言をしており、それも理解不能だったことが思い出される。まあ、ジャケットの話はいいでしょう。

冒頭「Indiana」から快調に飛ばすゲッツ。途中、ベンクト・ハルベルクのソロがタイム感を狂わせておもしろい。2曲目「Without A Song」はピアノによる半コーラスのあとでゲッツが入った瞬間、空気がガラッと変わる。これは聴いた人すべてがそう思うところ。ちなみに「Without A Song」では普通に頭からゲッツが吹いている。聴き比べるのも一興。

「Everything Happens To Me」はピアノソロのあとがかっこいい。このフレーズ、私も真似するときがあります。これは1951~52年にギター入りクインテットで演奏していたころよりぐっとスマートな演奏になっていて、曲の良さを引き出している。そしてバラードが続き「Over The Rainbow」。この曲はAメロもBメロも同じキーのトニックで始まるため、本当に聴かせる力がないとだれてしまうという難曲。実はちゃんと聴かせるのはかなり難しいのです。メロディはきれいだから、その事実に気づかないで演奏してしまうと泣きを見る。「あれ~なんだか盛り上がらないな」と思いながら演奏することになります。当然ゲッツはしっかりまとめて、名演となっている。

続く曲は、この頃の定番「Get Happy」。しかしいつも思うのが「Get Happy」はなぜこういうふうにするのだろうか、ということ。原曲と違ってマイナーにしてますよね。この時期のライブでも同じようにやっているけど、アレンジとしては失敗ですよねえ。

最後の曲は「Jeepers Creepers」。冒頭の「Indiana」もそうだけど、このアルバムはやたらと古い曲を演奏していて、それが欧州のリズムセクション、かつゲッツのサウンドという要素が加わることで、なんとも不思議な、非常に記憶に残るアルバムに仕上がっている。

スタン・ゲッツ・イン・ストックホルム

スタン・ゲッツ・イン・ストックホルム