スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

LIve In Düsseldorf 1960

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ボサノヴァ以前のあまり知られていない1960年3月28日ライブ、おまけにドイツのジャズフェスティバル、5曲入りで「Out Of Nowhere」が2テイクも入っている、あとはいつもの「Woody'n You」など目新しい曲もなし・・・

なんてことを知ると、まったく期待できないアルバム。そう、期待しないでください、その分、実際に聴いたときの驚きが格別のものになります。演奏は最高レベル、発掘音源なのに音も良い。

とにかくこのアルバムでのゲッツは快調。こんなに調子良く飛ばすゲッツはそう聴けないんじゃないかというくらいの名演。メンバーはレイ・ブラウンエド・シグペン。フェスティバルにはオスカー・ピーターソンのトリオも出演していた。ピアノがヤン・ヨハンソンンというのが残念、申し訳ないけど比較してしまう。ちなみにゲッツのピーターソントリオとの共同名義アルバムは、ドラムレス時代のものだから、シグペンとの共演はこれが初めてなのかな?

当時のフェイバリット「Pernod」ではピックアップソロを長くとり、テーマ後はゆるゆるとだんだんエンジンの回転を上げていくような構成が聴ける。「Out Of Nowhere」が2テイクあってもまったく問題ない、どちらも名演だから。

このフェスティバルにはジョン・コルトレーンのバンドも出演しており、ここで同じ日に共演したのが有名なコルトレーン名義の共演盤DVDになっている。あそこではピーターソンがピアノを弾いている。

2023年追記。

このアルバムを聴いていてなんとなく漠然とした違和感を持った。演奏内容は文句のつけようがないのに。で、ふと気づきました。ドイツの聴衆があまりにもお行儀が良すぎるのです。曲が終わる、ピタッと終わってから一呼吸して、まるでクラシック演奏を聴いたかのような行儀の良い拍手が歓声もなくサーっと起こる。全曲それ。

この時代はそういうものなのかなと思い、ちょうどゲッツが欧州に住んでいた時期だからノルウェー、スイス、フランス、スウェーデンデンマークポーランドなどのライブを聴いたけど、普通にエンディングと重なるように、歓声を交えた拍手が起こっています。ドイツの国民性か?

で、日本はどうなのかなと思ったけど、同時期の日本ライブ音源は当然ない。一番い近くて、「Sweetie Pie」での1965年ライブを聴いてみると、これもドイツ国民のようにしっかり余韻が終わってから拍手が起きていた。まあ、「Waltz for a Lovely Wife」という曲がエキサイトするようなものではないし、そもそも手抜きライブだから熱狂的に拍手するような内容ではない。エンディングも静かだからこんなものかな。1981年の日本ライブ録音は熱狂的でしたけど。

 

Live in Dusseldorf 1960

Live in Dusseldorf 1960