スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Stan Getz Plays

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ゲッツの最高傑作ともいえるアルバム。私が初めて買ったゲッツのアルバムがこれです。後半にバラードが固まる曲順はなんなのかな~ノーマン・グランツは何を考えていたのか、と思うけど、この曲順これはこれでいいと思ってしまうのは演奏があまりにも素晴らしいからかもしれない。

メンバーのうち、ベースのビル・クロウは「さよならバードランド」の著者です。

 

1曲目「Stella By Starlight」は奇跡のような珠玉のメロディの連続だけど、ほかのライブ録音でも同じようなフレーズを吹いているんだよね・・・ま、ジャズミュージシャンはみんなストックフレーズを持っているし、ゲッツは何十年も同じストックを使い続けたからね。その割には50年代以外の「Stella By Starlight」はキーも変えて、同じフレーズを吹かなくなったけど。

3曲目「'Tis Autumn」はまさに秋の雰囲気。曲想もあるけど、ゲッツのサウンドが秋にふさわしい。そういえば「Early Autumn」もすごく秋のムードがありますよね。あれも曲想自体がいいのだけど、やっぱりゲッツの音色は秋の夜長に合うのです。これはゲッツのためにあるかのようなレアなスタンダード(ちなみに私はこのアルバムを12月に買ったので、どうしてもこのアルバムには冬のイメージを持っているのですけど)。

4曲目「The Way You Look Tonight」5曲目「Lover Come Back To Me」のアップテンポ2連続は、泉の如く湧き出るメロディが止まらない止められない。どちらも甲乙つけがたい演奏。そして一転してバラード、6曲目「Body & Soul」は全部で1.5コーラスだけど、いったいどこを演奏しているのかわからないほど1つ1つのフレーズが完成されていて降参するしかない。これこそジャズ界の奇跡の1つでしょう。

この、レコードで言うとA面最後「Body & Soul」からB面前半の3曲までずっとバラードという順番が、攻めてるというか強気というか。

B面冒頭の「Stars Fell On Alabama」、これまた最高。特徴的なあの32分音符攻めは、なぜかこの時代しかやっていない。そしてベニー・グッドマン楽団でおなじみの「You Turned The Tables On Me」、ウェイン・ショーターウェザー・リポートの「8:30」で吹いていた「Thanks For The Memory」とバラードが続く。

最後の「These Foolish Things」は、ヴァーヴ移籍前のルーストでの最後の録音曲でもあったけど(「The Complete Roost Sessions Vol.2」などで聴けます)、ヴァーヴの初リーダー作にも入れるというのはけっこう気にいってたのかな?なんだか思い入れというかいわくがありそう。

こんなに名盤なのに、この録音が終わるころにはギターのジミー・レイニーがゲッツの麻薬中毒に嫌気がさしてバンドを去ると伝えてきたということです。

 

日本盤CD追加曲の「How DeepIs The Ocean」は確かにお蔵入りでもいいかな、という録音。でも、アメリカ盤で(なぜか)追加される別日程の2曲「I Hadn't Anyone Till You」と「With The Wind And The Rain In Your Hair」は曲もパッとせず、もっとお蔵入りに納得してしまう。というか、この2曲は「Stan Getz & The Cool Sounds」収録曲と同じセッションだから、そっちに追加すればいいのに。

 

スタン・ゲッツ・プレイズ+1

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