スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Live In London

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このアルバムを聴いて、ほとんどの人が違和感を覚える。その正体を明かします。

 

1964年のライブで、ゲイリー・バートンの曲をやっているけどバートンは参加していない。バートンとの初共演は評伝によれば1964年1月のカナダツアー。このロンドンライブの録音時点ではレギュラーメンバーになってたけど、今回はゲッツの他のリズムセクションは現地調達でした。ここではバートン入り時代の代表曲「Six Nix Quix Flix」を始め、「Manhã De Carnaval」「Here's That Rainy Day」「Little Girl Blue」など、バートン時代の曲が演奏されています。

 

しかしまあ、このアルバム、不満は多いけどことゲッツに関してはすばらしく、とにかくゲッツのフレーズが際立っている。速いパッセージを混ぜながらこれでもかというくらい勢いよく飛ばす。「Autumn Leaves」のゲッツソロの2コーラス目冒頭なんかストックなのかな。これはマイナーキー用フレーズの香りがするので、16小節後、少なくとも4小節後の方がぴったりくるね。ただこのアルバム、録音バランスがおそろしく悪い。曲によっては音量を絞っているとゲッツしか聴こえない。無伴奏かと思うくらい。

 

で、そうそう、「Six Nix Quix Flix」で、ゲッツが1人で8分もソロを繰り広げる。あの短いコーラスでそれだけやるというのはそうとうなもので、それなりの技量がなければダレるんだけど、さすがはゲッツ。

この8分のソロが終わると、ピアノのソロが始まる・・・ん、何これ?コンピング?テキトーに音を鳴らしているだけ?それもドヤ顔で。フレーズ聴いてるとどうやら本人はいい気持ちらしいけど。

このピアニスト、スタン・トレーシーが、最初かなり嫌いでした。あえて最初にブログに載せた文章を下に紹介します。

 

『スタン・トレーシーは、ジャズミュージシャンではない。嫌味や何かの例えで言っているのではなく、事実としてジャズではない。これが違和感の正体。フレーズというものが存在しない。はっきりいって、かなり気持ち悪い。セッションで、ほぼクラシック経験しかないピアニストやブラバン出身トランぺッターなんかにこういう「指は動くけどまったくジャズじゃない」という人を見かける。上手か下手かじゃなくて、ジャズかどうかというのがすごく重要なのがわかるアルバム。ポピュラー音楽には楽譜に表現されない「らしさ」が重要な要素であり、音程とか調和なんかよりよっぽど大切なんだけど、それがないとどうなるかがよくわかる。ゲッツも彼には任せられないと思ったのか、ピアノソロはあまりない。』

 

ざっとこんな感じです。

このロンドンライブ、Vol.2もあるんだけど、後日談というかスタン・トレーシーについてはそっちでお話ししましょう。

 

Live in London

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