スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Getz Meets Mulligan In Hi-Fi

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ゲッツがバリトンを吹くというアルバム。ゲッツのバリトンはゲッツらしくないけど、ジェリー・マリガンのテナーはゲッツらしくないので、それでどっちがどっちかわかります。ジャズ批評では間違った解説をしていたようですけど。ソプラノを吹く録音もあるわけだから、アルトを吹いているゲッツも聴いてみたい。ないのかな。いや、実はあるんですよ。さて、どれでしょうか。

けっこうゲッツのフレージングがいつもと違っていてわかりにくいという人もいるかもしれません。私が聴くかぎりでは、ゲッツはアルバム前半でバリトン、後半でテナー、CD追加曲もテナーを吹いています。つまり「Let's Fall In Love」「Anything Goes」「Too Close for Comfort」の3つでバリトン。頭から聴いていると4曲目でようやくゲッツのテナーが登場して、ちょっとホッとする。実際の録音順はわかりませんが、少なくとも収録順でいうとジャズ批評にある「だんだん興に乗ってきてついに楽器を交換した」というのとは逆なんですね。

ところでこれは、ゲッツがさんざんいろんな演奏でメロディを引用してきた「Anything Goes」がようやく演奏されるという、マニアにとっては記念碑的なアルバムw ほかの選曲はバリトンの音色のイメージもあってなんとなくぱっとしない印象なんだけど。

個人的には未発表でCD追加となった「Scrapple From Apple」での演奏が好き。アップテンポで軽快に進むこのテイク、どうして未発表になったのかな。

それと「This Can't Be Love」でのフレーズに、理論的には「?」なのにかっこ良くて真似したくなるような特徴的な部分があり、やっぱり最後はセンスなんだなあとつくづく思いました。

 

Getz Meets Mulligan in Hi-Fi

Getz Meets Mulligan in Hi-Fi