スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Moments In Time

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同時に発売された「Getz/Gilberto '76」と違い、こちらはゲッツのカルテットが存分に演奏している。ジョアン・ブラッキーンもガンガン弾いている。もっともブラッキーンのピアノはそんなにいいものではないけど。

1曲目、スタジオ盤「The Master」でしか聴けなかった、あの「Summer Night」(「The Song Is You」には他の曲が「Summer Night」とクレジットされ、それとは別のメドレーの一部として「Summer Night」が断片的に収録されているけど・・・)が始まった瞬間、ゲッツのかすれたサブトーンの音色に魅せられる。このかすれ具合、非常に綺麗に録音されていた「Reflections」とは全然違うサブトーンだけど、すごく生々しく、手に取るようにゲッツの音色がわかる。冒頭の1フレーズを聴くだけでも感動しますよ、これは。

この「Summer Night」のほか、本家ウェイン・ショーターよりもぴったりくる「Infant Eyes」、これをやるか?というホレス・シルバーの「Peace」のほか、ケニー・ホイーラーの「The Cry of the Wild Goose」など名曲とレア曲を収録。「Peace」なんて、シルバーの初演アルバム「Blowin' The Blues Away」では一番つまらない曲だったという印象だったのに、ゲッツの演奏となるとすごく名曲に聴こえる。ゲッツは最後まで自分で吹き切るというパターン。

録音も先のジョアン盤と同じエアチェックだと思われるのにノイズが少ない。あちらは小さい音をなんとか聴けるようにした結果なのだろう。

 毎回長くなる「Con Alma」にはいつも苦笑だけど、やはりこの音源の発掘発表はファンにとって非常にうれしいプレゼントだと思う。「Con Alma」はリズムを変化させるからどうしても長くなるんですよね。ソロがリセットされて2周目に入るというか。

「Morning Star」はジミー・ロウルズ作曲と記載されてるんだけど、おかしいな(「Live At Montmartre」ではロジャー・グラント作曲とある)。

最後に、ベースのクリント・ヒューストンという人はよく知りませんが、ブラジル音楽をそれなりに分かっているようです。「O Grange Amor」でのプレイでそう思えます。時代による情報量の差もありますが、アルバム「Sweet Rain」の同じ曲でのロン・カーターのプレイとは全く違います。

 先に発表されていたスティープルチェイス盤「Live At Montmartre」の前哨戦みたいな位置付けで考えるといいかもしれない。選曲もメンバーも同じところが多く、この演奏から時間を重ねて「Live At Montmartre」になるのかと思うとけっこう感慨深いところもあります。

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