スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Jazz/ Tony Bennett

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トニー・ベネットのオムニバスで、ゲッツ参加の4曲が収録されている。ボブ・ブルックマイヤーの「And Friends」セッションのアウトテイクでしょう、メンバーはハービー・ハンコックロン・カーターエルヴィン・ジョーンズです。ブルックマイヤーは参加していないけど。

とにかくゲッツが吹きまくる。単なる歌伴という遠慮はまったくない。「Out Of This World」は完全にゲッツが主役。

ジャズでは普段アップテンポで演奏される「Just Friends」は、しっとりとした落ち着いたバラードになっており、とてもいかしている。

その他「Have You Met Miss Jones?」「Danny Boy」に参加。特に「Danny Boy」はゲッツの音色とスコットランド風メロディがぴったりマッチしていて、すばらしい演奏。

ただ、ベネットは歌声がゴージャスすぎて、どうもこういうコンボには合わないと思う。余談ながら、ベネットとビル・エヴァンスのデュオのアルバムはシンプルな編成とゴージャスな歌声が合わず、ボロボロのアルバムだったなあと思う。

Jazz

Jazz

 

Blue Skies

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この頃のゲッツのアルバム、この「Blue Skies」のほか「Spring Is Here」「The Dolphin」「Pure Getz」を聴いていると、スローやバラードの選曲が目立つ。特にこのアルバムは6曲中5曲がスロー系。

冒頭「Spring Is Here」がタイトルの印象とは違って暗い曲なのに、続く「Antigny」がまた暗い。2曲で、このアルバムは暗いというイメージが定着してしまった。3曲目「Easy Living」はダイアン・シューアが多重録音に利用したテイク。

 

唯一速い「There We Go」は、ジム・マックニーリーらしい曲想。エキサイティングなソロが聴かれる。そして、このテンポで演奏するのはゲッツしかいないであろう「Blue Skies」。これは好き嫌いが分かれると思う。

ラストの「How Long Has This Been Going On?」はヴァースをイントロにしているのがかっこいい。この曲も、シューアがゲッツの歌伴で録音しているよね。こちらは多重録音でなくリアルタイムでの共演だけど。

 

Blue Skies

Blue Skies

 

Sweet Rain

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チック・コリアの参加で有名なアルバム。ジャケットの写真は誰なんだろう。後年の愛奏曲となる「Con Alma」はこのアルバムが、初演。

テンポが目まぐるしく変わるコリアの「Litha」、最初の4ビートでのフレーズはアドリブ風だけどテーマのメロディの一部でしょう、他のライブ録音でも演奏しているし。でもこのフレーズってゲッツのソロフレーズとしての特徴がありますよね。もっというとコリアが「書いた」フレーズには思えない、コリアらしくない。ゲッツのストックフレーズなのかなと思うほど。もしかしたらその可能性もある。初演かつスタジオ録音ということもあり、ていねいに演奏されています。

2曲目の「O Grande Amor」は、コリアにロン・カーター、グラディ・テイトというリズムセクションでは全然ボサノヴァに聴こえず、ゲッツも「Getz/Gilberto」のときとは違いすごくエモーショナル。ジャズとしては素晴らしいけど、ボサノヴァファンには許容範囲を超えていると思うかも。でもゲッツのアドリブフレーズがかっこいいものばかり泉のように湧き出てくる、かなりの名演。ボサノヴァがどうかということに関係なく、私は大好きです。

「Sweet Rain」はアルバムタイトルにもなっているけど、一番ピンと来ない曲なのかもしれない。これは曲を理解すると、このスローテンポがすごくエキサイティングに思えてきます。一度演奏してみるといい曲です。

最後の「WIndows」はマイクロソフト賛歌、いえ冗談です。多彩なフレーズが組み合わさったコリアのオリジナル曲で、静かに始まって一気にホットになるところが最高。

 

実は私は、最初聴いたときこのアルバムの良さがわからなかったのですが、いまはこんな名盤めったにないとすら思っています。まだ新人のコリアのプレイが、コンピングを聴くだけでもただ者でないことがわかります。

 

スウィート・レイン

スウィート・レイン