スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

With European Friends

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ブートレグの1つではあるものの、演奏内容はすばらしい。欧州時代のゲッツは手抜きがなかったと言えるかも。
このころの欧州セッションでは、ゲッツはストップタイムが好きでけっこうやっている。このアルバムも1曲目2曲目と連続してストップタイムがある。ゲッツの好みというより、欧州のミュージシャンの間で流行っていたのかな?

全8曲、前半の6曲は50年代の録音で、「'Round Midnight In Paris」と同じ音源。「They All Fall In Love」ってクレジットされている曲は「A Ghost Of A Chance」でしょ。ディスコグラフィーでは別の曲ということになっていたりするけど。

あの「Dear Old Stolkholm」はゲッツ初演と違い、あとからマイルス・デイヴィスなどが付け加えた例のリフがある!少なくとも生前発表された公式録音の範囲では、ゲッツはこの曲がジャズのスタンダード化してからもこういうジャズ的後付けリフをやっていなかったので、これは実は意外なことかと思います。

残りの最後の2曲は、「Live In Loosdrecht 1971」に収録されているものと同じ音源。録音日は違うと記載されているけどね。つまり、このCD発売当時と違い、今ではこのアルバムの音源はすべて他のCDで聴けるんですね。

そうそう、大事なことを忘れてました。なんとここにはゲッツの、ブルーノートでのライブが収録されているんですよ!パリの「ブルーノートカフェ」という店ですが・・・

With european friends

With european friends

 

Without A Song

ジャケットにはベニー・グッドマンが映っている。ゲッツはオットーリンクのメタルを吹いているという、実は貴重な写真。スウェーデンデンマークポーランドでの録音を集めたもので、12曲収録。後半の5曲はゲッツファンならおなじみの「ワルシャワ5」。勝手に名前をつけましたが、はい、あの5曲です。

で、前半の7曲が素晴らしい。すべてライブ録音だけど最初のスウェーデンストックホルム録音の4曲は拍手も聴こえず、この頃の欧州録音に多かったラジオ放送用のスタジオライブなのかも。

1958年~1960年は北欧に拠点を置いていた時期。この頃は録音が多いけどどれも同じようなラインナップなんだよな~と、期待せずに冒頭の「Born To Be Blue」を聴いた瞬間ノックアウトされる。完全に意表を突かれます。なんと、ほかのアルバムで聴けるようなバラードでなく軽快なミディアムスイング。ゲッツは泉のようにメロディを紡ぎ出す。録音の悪さがむしろ雰囲気を醸し出していてグッド。スタジオ盤ではないけど拍手がまったく聴こえない「Move」も新鮮。

7曲目「Without A  Song」はスタジオヴァージョンが収録されている「Stan Getz In Stockholm」とは違い冒頭からゲッツがテーマを吹く。これがけっこういい。スタジオ盤を聴いた人はみんなブリッジからゲッツが入るからかっこいいと思っているはずだけど(実際そうなのだけど)、このライブ録音を聴くとこれもまたいいと思うはず。

結局ゲッツのこの時期の北欧録音って、レパートリーがつまらないとかサイドメンがダメだとかなんだかんだ言っても、どれも良い演奏なんですよね。

 

Without a Song

Without a Song

 

Move/Miles Davis & Stan Getz

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国内盤で昔は下のジャケットで入手できたような気がするんだけど、いまはまったく別の内容になっている。上のジャケットは録音年と写真のずれが気になりますね。

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1950年のバードランドライブ。ラジオ放送用らしい。当時のクールジャズの雰囲気がよく録られている。ただ、希少感がありながらも全体的に盛り上がらないまま終わるという印象。マイルス・デイビスは、例外もあるけどホットな木管奏者とのほうがトータルでいい演奏になると思う。名盤とされる「Birth of the cool」もそんなにいいと思えない(いや、あれがつまらないのは別の理由かな)。ゲッツも同様で、チェットとの共演はそれなりにおもしろいのになぜかここでのマイルスとの共演は盛り上がらないというか混ざらない。

ただ、「Conception」は意欲作でいい曲ですよね。アレンジもいいし構成もいいし、ソロもいいテンポに乗ってこの時代のジャズの魅力が伝わってくる。ハードバップ以前って独特の魅力があるよね。

トロンボーンはJ.J.ジョンソン。このあと1957年のオペラハウス1960年のJATP1988年のリユニオンライブなど共演がたくさんあるけど、ゲッツとの付き合いは古いんだなあ。それと、ドラムはアート・ブレイキー。割りと珍しい組み合わせ。

 「That Old Black Magic」は誰が演奏するかバンド内で投票をして、ゲッツに決まったとのこと。リーダー格が何人もいると、面倒ですね。

Move

Move