スタン・ゲッツを聴く

スタン・ゲッツ ファンが勝手なことをいっているブログです。

Stan Getz & Bill Evans

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素晴らしい顔合わせだけど、不思議と謎だらけのアルバム。個人的には好きですけど。

「謎:なぜゲッツのジャケット写真がこんなにかっこわるいのか」

ジャケットのゲッツの写真がぼけているしかっこわるいよね。ビル・エヴァンスの方はバッチリカッコいいのに。

「謎:なぜこのメンバーなのか」

ゲッツ、エヴァンスのほかはロン・カーターエルヴィン・ジョーンズリズムセクション。エルヴィンなんてジョン・コルトレーンのレギュラーバンドでかなりブイブイ言わせている時期なのにね、よく選んだものだなあ。この2人が合ってるのか合っていないのかよくわからないけど、全体的には2人のリーダーがいい作品に仕上げている。

「謎:「Night And Day」での8バース」

「Night And Day」はゲッツの他の録音とは感じが違うけど、2人のリリカルの応酬が非常にすばらしい。特にエヴァンスがいいプレイをしているんだけど、後半、カーターとエルヴィンの8小節交換がある。これが意味不明。エルヴィンが8小節ドラムソロをすると、無伴奏でカーターのウォーキングソロ。カーターのソロはいただけない。単に音を出しているだけ。無伴奏はきついと思ったか、次のチェンジではエルヴィンはドラムによる伴奏をつけている。別テイクを聴くと無伴奏部分はないから、単に忘れただけ?それにしてもこの8バース、かなりきついですよ。痛々しい。なんでこんなのやったんだろう。

「謎:なぜこのキーか」

「But Beautiful」は、ゲッツにとってはF#メジャーというやたらと難しいキーで演奏している。転調はするけど、また戻るし。たまにこういうことをするゲッツ。

「謎:ちょっとエヴァンスの意図がわからない「My Heart Stood Still」」

「My Heart Stood Still」で、エヴァンスのソロの1コーラス目でほとんど音を出さない。じゃあベースのウォーキングソロなのかというとどうもそうでもない。コーラスの終わりの方でポロポロと弾き始めるのが、次のコーラスでも続いて、いつの間にかピアノソロになっている。交代の切れ目もよくわからない。クスリでおかしくなっていたのかとも思うけど、別テイクも同じようなよくわからないことをしているから、意図的であることだけはわかるけど、意図がわからない。

それと、ゲッツの手癖が気になる「Funkallero」。もう同じフレーズを何回も何回も、かなり気になるなあと思って回数を数えてみたら、なんとたった4回でした。そう思うと大して気にならなくなるから不思議。

と、謎をいくつかあげました。あまり有名でないバラード「Melinda」は素敵。少し某スタンダードに似ているフランク・ロッサーの曲、すごく名曲なんですけどほかの録音を知らない。どうして誰もやらないんだろう。

それにしても、このアルバム、最初はあまり好きではなかった。上にあげた「謎」もあったし、メンバーがしっくりこないような気もするし。それでも何度も聴いているとゲッツもエヴァンスもかなりいい演奏をしていて、いつの間にか愛聴盤になっていた。

 

別テイクがたくさん入ったCDだけど、このときのセッションのさらに別のテイクが「The Complete Bill Evans on Verve」に入っている。ただ、これらは断片的なテイクで、あえて聴く必要はないです。一度聴けばもうたくさん。一緒に収録されている「Dark eyes」も断片的。ただ、コンプリーターを目指すなら必要ですね。ボックスセットにしか収録されていないからお金がかかるんだけどね。

 

スタン・ゲッツ&ビル・エヴァンス+5

スタン・ゲッツ&ビル・エヴァンス+5

 

Voices

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ストリングスの代わりに混声コーラスがバックについた作品。もともとはウェス・モンゴメリーのために録音したバックトラックだったそうだけど。

というと興味深く思えるんだけど、実際は期待(?)のコーラスの音量が小さくて、フツーに聴けてしまうのが残念。もっとキワモノだと思っていたのに。

選曲はホント、箸にも棒にも掛からないものが延々と続く。ジャズとして有名なのは「I Didnt Know What Time It Was」「Nica's Dream」だけ。いや、知らない曲だからダメということではない。そうでなく、印象にも残らない、平坦なびっくりするほどどうでもいい曲が、なんとフェイドアウトで終わったりする。ジャズファン以外をターゲットにした作品だと思うんだけど、クリード・テイラーはこれで何がしたかったのだろう?

1曲目「Once」は、クラシックの曲ですね。

 

と、これが2017年に投稿した内容なのですが、いや~やはり自分が甘かった。このアルバムの良さに気づいていなかった。確かに、平坦な曲も多くBGMにしかならないような印象もあったんだけど、好き勝手に吹いているゲッツも良くだんだん味が出てきて、なんだか今すごく気に入っているアルバムになってしまった。先日は(全体的に薄味ということもあり)3回連続で聴いてしまったほど。以上、2023年追記。

 

 

Cool Velvet/Voices [2 on 1]

Cool Velvet/Voices [2 on 1]

 

Everybody's Somebody's Fool /Jimmy Scott

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1952年、ゲッツがバックオーケストラの一員として4曲に参加している。ジミー・スコットの声は魅力的で、これはすごくいいアルバムです。

・・・ゲッツのソロは一切ないんですよ。ほんの数小節入るソロはゲッツのものではないと思う。「The sound」の後なのになぜ。ぜいたくというか、無名の人を使うより高くつくだけなのに有効活用しないとは。

「いや、あのソロはゲッツだよ」という方いたらご連絡ください。それだとしてもあまりにも短すぎる。デッカのプロデューサーがよくわかっていなかった?

 

Everybody's Somebody's Fool

Everybody's Somebody's Fool